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長い時間とお金と人員を割いて開発したタイトルを満を持してリリース!
・・・したものの全く跳ねないという目も当てられない事態に直面することはよくある話。
売り上げ改善のためにDAUやRRを伸ばす努力をするものの悉く不発で売上げも上がらずサービス終了に・・・。そんなプロジェクトをこれまでたくさん見てきました。

DAUこそ正義

どんなサービスでも共通して言えることですが、ユーザー数と売り上げは比例するので、ユーザー数の少ないサービスでは売上げを維持するのが難しい状況に陥ります。そのため運営サイドとしては手っ取り早く利益を確保するために、一部のヘビーユーザーと呼ばれる高課金者に頼るようになり、どんどん個人の負担を強いるスキームにシフトしていってしまう傾向があります。
こうなるとお金をかけないと遊べないゲームになり、ついていけないユーザーは離脱していき、新規ユーザーの獲得も難しくなっていきます。DAUを上げて(裾野を広げて)個人の負担を軽減しなければ、そのままサービスはしりすぼみに衰退していきます。

ただ、問題なのはこの事態を開発者自身(運用責任者)が理解していないという事実。
UXデザイナーからの視点として、なぜそのゲームが売れないのか?DAU/RRが上がらないのか?何が問題なのかをまとめてみました。

1正しいサイクルに誘導できていない

チュートリが終わったらご自由にどうぞ という丸投げなパターン。ユーザーを正しいゲームサイクルに導く上で一番やってはいけない失敗例です。(すごく多いですが)
そもそも初めてゲームを遊ぶ人間にとってはいきなりご自由に。と言われても何していいかわかりませんよね。
チュートリ終了後の離脱率が高い要因の一つがコレ。


丸投げパターンが通用するのはSGを長い間プレイしてきた経験のあるユーザだけで、全くの初心者を完全に度外視しているので、せっかく遊びに来てくれたプレヤーをみすみす取り逃がしているわけです。さらにゲームごとにプレイ感やルールが少しづつ違うので、慣れている人でも初めは解らないもの。結局きちんとした説明のないままチュートリが終わってしまうので、迷子になったユーザーは離脱します。

海外旅行

解決策

コンソールゲームではみんなやっていることですが、ユーザーが正しいサイクルに乗るまでは、運用側できちんと誘導してコントロールしてあげることが大事です。
ある程度ストーリーが進むまではできることが限られていて、良きタイミングで機能を解放する方法。
SGなのであまりリッチなことはできないというジレンマはありますが、やらずにユーザーを失うよりはマシです。

ゼルダ  ゼルダ
ゼルダシリーズのチュートリアルは毎回ストーリーに絡めて丁寧に作り込まれている。

逆にあえて何もしないという方法もありますが、この場合はゲーム事態の構造が単純な場合に限ります。具体的にいうとファミコンのゲームみたいなもの。何もしないと敵が襲ってくる。前にしか進めない。みたいな状況だとユーザーは特に説明しなくても勝手に進んでくれます。

マリオ
ただまぁ、こういったゲームは今の時代、なかなか作るのは難しいでしょうね。
手がかり
J・J・ギブソン『人は手がかりを探す』 知覚可能なアフォーダンス
ユーザーは何も説明がないと自ら進んで情報を拾いに行きます。
多くのゲームで情報過多なのはすべてを説明しようとするからです。ユーザーを信じましょう。

2ゲームへの没入感が希薄

パズドラ、モンストの成功を例に挙げて、敢えて何も説明しない。特別なストーリーを用意しない。そういったゲームを作ろうとする開発者がよくいます。しかしそれはパズドラ、モンストだから通用するのであって、複雑怪奇な仕様と世界観を持つゲームでは通用しません。ただし、パズドラ、モンストもよくできているとはとても言えません。

ストーリーの使い方が下手

シナリオは物語の中にユーザーを引き込むための大切な要素です。ストーリーを上手く使うことで、ユーザーが没頭してくれるUXを作り出すことができ、ゲームを進める動機を与えてくれる重要な役目を担っています。
ゲームの目的が曖昧だと、ユーザーは何のために進めているのか解らず、ただひたすら同じサイクルを繰り返すだけの作業に飽きてしまいます。ストーリーはゲームを進める動機をハッキリさせてくれるので、継続性を維持できる有効な手段だと言えます。

メガテン
"女神転生4 FINAL"
ゲーム序盤で主人公が死亡するシーン。ダグザ(悪魔)と契約すれば命を助けてやるという重要なシーン。ユーザーを物語の世界に引き込み、先のストーリーを進めたいと思わせてくれます。

カードゲームの目的は”相手に勝つ”とハッキリしていました。ゴールが無く、そのためストーリーも必要ないと思われていましたが、新規性や独自性のために世界観を追求し始めるとどうしてもストーリーが必要になります。その矛盾に多くの開発者は気づいていないようです。

マジック ザ ギャザリング
http://magic.wizards.com/ja
相手に勝つことが目的であり、カードを集めなければ戦えない。あとはユーザー自身が能動的にゲームを成長させてくれるのでストーリー等が必要ない。

パズドラ、モンストはレアケースです。
スマホの操作xパズルの親和性の高さから、ゲームに興味の無いユーザーを取り込めたのが大きいです。パズルゲームそのものが目的化しているので、ゲームを進めることを目的としていなくても遊び続けられます。また、この二つはプロモーションの上手さが最大の勝因です。モチーフ自体のとっつきやすさと、イメージ通りの単純なプレイ感が上手くマッチした成功例だといえます。(パズルは世界中誰でも知っているモチーフですからね。)
CMを見て面白そうと始めてみたものの、何だコレ? なパターンは結局続きません。

収集が目的でないゲームの場合は”ゲームを進める=ストーリーを進める”と言っていいと思います。
しかし、多くのサービスがゲームを進めることを目的とした設計にしておきながら『うちのゲームもストーリーなんか無くていい!』という不自然な構造になっているため、プレイが継続しないのです。

3やることが多すぎる

ユーザーを飽きさせないため、長く続けてもらうために色々な施策を盛り込むのはよくあることですが、ゲームサイクルに直接関わる機能を盛り込んでしまうと、特に新規ユーザーにとっては初見でやることが多くて面倒くさそう とか 複雑そう という印象の方が先に立ってしまい、ユーザー獲得を妨げる原因になってしまします。
また、すでに遊んでいるプレイヤーにとっても単純に作業が増えるので、面倒さを感じさせてしまいます。ゲームサイクルに直接影響するような機能追加はやめておきましょう。

機能が多い
人間は複雑なものには嫌悪すら感じる

ゲームサイクルに直接関係しないやり込み要素などは、やりたい人がやるものでしかないので面倒を感じる人はやりませんがゲームサイクルに関わる機能だと作業感が増してしまうので途端に面倒を感じます。

わらしべ

後から新しいものを追加していくと初期設計が壊れてしまうので、すべての機能を初めから入れておくのは当たり前のことです。
SG育ちの開発者達は後から追加すればいいという考え方が身に染み付いてしまっているので考えを改めましょう。

4スコープを間違っている

誰でも遊べるカジュアルゲームを目標に開発が始まったはずなのに、いつの間にか月10万課金しているヘビーユーザーのためのガチゲームになってしまっていることはよくある現象。しかし、なぜそんなことが起こるのか?それはスコープ(ペルソナ)を間違っているから。


DAU/RRが伸び悩んでくるとその原因は何なのか考察が始まります。大抵の場合『コンテンツを遊びつくしてしまいやることがないから』『頑張ってもドヤ出来る場所がないから』という理屈が聞こえてきますが、その前提がすでに間違っています。

そこまでやりこんでくれている人達はもうすでにヘビーユーザーです。継続してもらう工夫は確かに必要ですが、そもそも枯渇してしまうような作り方がイケない。何もしないでも熱中して継続してくれるものでなければゲームとは言えません。

スコープ

問題なのは新規ユーザーの獲得と辞めてしまった人達の復帰。
現在のプレイヤーに対する優遇措置をとっても、DAUの維持はできますが決して上がることはありません。新規プレイヤーに向けてコンテンツ量を増やしたり、ドヤできる場所を与えても意味がない上に、ゲーム難度が高くなって入りづらくなってしまうので逆効果です。

IP(版権)ゲームの失敗パターン

最近はどれも似通った内容のゲームが増え、差別化が計れない中でなんとか売上げを維持するために”版権もの”をゲーム化する流れが出来ています。ただ、ゲームのルールを重視するあまり原作らしさを殺してしまっているゲームが非常に多く、IPを利用した側替えゲームばかりが目立ちます。原作ファンさえ取り込めればIPゲーは成功ですが、ファンを敵に回しかねない酷い内容のゲームを作ってしまうのは、開発者自身が原作に対するリスペクトを欠いているからに他なりません。
IP作品の作り方については他の記事で詳しく言及しています。IP(版権)作品を成功させる方法


<成功例>
ジョジョ   ドラゴンボール
どちらの作品もゲーム化ならでわの独自のバトルシステムと原作に準拠したシナリオや隠しコマンドで高い評価を得た。

5そもそもの初期設計で失敗している

DAU維持のためにプレイ中のユーザーを継続させるための施策を打てば、少しずつレベルデザインがヘビーになっていってしまい、かえって新規ユーザーの獲得が困難になっていきます。さらにヘビー層の中で上位争いが始まると、ついていけないユーザーはどんどん離れていきます。
DAUが維持できない。上がらないのはそもそものゲーム設計がイケてないからです。


更新/イベントありきの作りになっているので、いろいろな事情から中途半端な状態でリリースしてしまうのを許容するきらいがあり、運用しながら修正していけばいいというSG特有の"甘えた体質"があります。
どんな施策を打つのかくらい初期の設計段階でしっかり考慮しておくのが当たり前です。イベントを打たないとコンテンツが枯渇してしまうような設計をしている時点でサービスとして未熟です。

謝罪会見
不良品と解ってて売りつけるなんて詐欺ですよ。サービスである以上、完璧なものをお客様に提供しなければ失礼です。

プレイサイクルをきちんと考えて、無駄な施策を打たなくてもDAUを維持していける構造にしましょう。
海外
海外の優良アプリは大抵リリース時のまま数年継続できます。イベントなどもほとんどありません。そもそも更新で何かやるという考え方が無いのでしょう。だってゲームですからね。リリースしたらそれが完成品です。

コレをやろう!と言い出したら危険サイン!

長く開発や運用に携わっていると、プランナーさん達が何を考えているのが大体わかってきます。そしてまるで判で押したようにどこのタイトルでも全く同じ施策をやろうと言い出すのです。。。

  • ●ランキング

    ヘビーユーザー達に成果発揮の場を。という目的で導入されるランキング。こういった施策をいれると、どうしても上位層の小競り合いが始まり、とにかく重課金者しか楽しめない構造にシフトしていってしまうので、新規ユーザーの獲得が難しくなり、戦いに敗れた人達もどんどん離脱していくので、結果DAUの減少を招きます。そもそも成果発揮って必要なのか?

  • ●称号/トロフィー

    頑張ったユーザーが自慢(ドヤ)できるようにすることで、それを見た他のユーザーも頑張る気にさせるもの。。。ですが、他人と競いあうようなゲームシステムならまだしも、一人用がメインだとほぼ無意味です。フレンドの使っているレアカードを見て自分も欲しいな くらいはありますが、その称号欲しい!とはならないし、どうだ凄いだろ ともならないでしょうに。。。こちらもヘビー向けの施策なので新規ユーザーを敬遠させる一因となりえます。

  • ●ミッション

    チュートリ後離脱改善のために、何をしたらいいか学んでもらおうという目的で導入することが多いミッション。
    しかし、ゲームの内容も理解していないのにやること増やしても路頭に迷うだけです。
    ユーザーにとってはただ『やること多くてウザい』としか思われません。

ユーザー同士を競わせたり、射幸心を煽ることで売り上げ改善を図る方法は短期的には効果がありますが、長期的に見ると負の遺産になってしまうケースが殆どです。
一度入れてしまうと開発者側の都合で削除や変更ができないので、新たな施策の導入には慎重さが大事なのですが、そういった問題点を運用のプロである筈のプランナーやアナリスト達がどうやら理解していないという事実。
他のプロジェクトでも失敗しているような施策を完コピして焼き直すだけで、なぜ上手くいかないのかと頭を抱えているのを見ると、この子達はアホなのか?と不憫に思えてなりません。
ユーザーがどう感じるか。ということを考ることこそUX作りの大切な部分であり、面白いところです。

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[不定期連載] 不憫なSGデザイナー開発記 コメント(0)
       

IP関連のゲーム制作に携わる機会が多かったので、成功するパターンと失敗するパターン両方を見てきました。その中でコレをやると失敗する共通点が見えてきました。IP作品制作で絶対にやってはいけないこと成功させる秘訣をご紹介します。

自分がやるのはいいけど、他人がやるのは嫌

とあるIPゲームの制作に参加した際、原作のファンに聞き込み調査を行ったことがありました。
その作品は世界的にも人気、知名度共に高い作品だったので、作り手としてもかなり気を遣い、開発を始める前に”何をされると嫌か?”を調査しました。
原作を純粋に愛する人たちにとって許せないと感じるのは『二次創作感(素人っぽさ)を感じてしまう行為』だそうで、具体的に言うと”コスプレ”や"アンソロジーコミック"がNGというものでした。
コス、同人誌の何が悪い!?とお怒りになる方もいらっしゃると思うので詳しく解説します↓

聞き取りを行った方の中にはコスプレイヤーさんもいらっしゃいました。ただ、その人達に言わせると「内輪でやってる分には楽しい」が、「他人がやってるのを見せられるのは嫌」だということでした。。。
また、著作権利者本人が認めているかも重要で、ファンが勝手にやっていることは認めたくないようです。
つまり 非公式で勝手にやっていることは仲間内だけで盛り上がるのはいいが、見せられる方はたまったもんじゃない ということです。

二次創作

では、この前提を元にIPものを作品化する際に気をつけなければいけないことを具体的に見ていきましょう。

失敗するパターン

1原作にないことや独自のルールを作ってしまう

原作のストーリーに無いコンテンツオリジナルのストーリーはよくありますが、出来の悪いコンテンツの場合、原作の良さや雰囲気、キャラクター性などを無視した杜撰なシナリオを導入しているものが散見されます。

ゲームもそうですが最たる例はテレビアニメのオリジナルストーリーですね。キャラの話し方や行動に違和感を感じたり、話の展開が安直だったり妙に理屈っぽくなったり、別人がシナリオを書くと同じモチーフでも驚くほどつまらなくなってしまうんですから、原作者の偉大さを痛感しますね。

ハガレン
1期と2期で大きく評価の分かれるハガレンのアニメ
個人的には2期派で、1期後半の展開が中二過ぎて普通につまらなかった印象しかありません。エドの性格も変わっちゃってたし。。。

ゲームの場合、バランスやレベルデザインを意識するあまり原作らしさを殺してしまっている作品も多くあります。
原作中で最強ボスレベルだった相手にあっさり勝ててしまうとか、ゲームのルールに則るとどうしても変な属性がついてしまうとか。
仕方ないと言えばそれまでですが、そういった原作らしくない行いをするかしないかでファンの反応も大きく変わります。

2原作再現度が低い

「外国人のコスはいいけど日本人はダメ。」調査中にそんな声も聞きました。
作中のキャラだけでなく世界観や雰囲気(デザイン)をいかに再現できているかは、ファンにとって一番気になる部分のようです。
再現度が低い作品はそれだけで二次創作感(素人っぽさ)が滲み出てしまうので、最も気を遣いたい部分です。

私は三池崇史が嫌いです。

昨今、漫画などの実写映画化が流行っていますが、ヒットする作品と炎上してしまう作品とでハッキリ分かれるのも、原作再現度によるところが非常に大きいです。
よくできた作品はキャスティングとストーリー、両方が程よく原作を再現しています。
特にキャスティングは目に見えて比較できるので、わかりやすく評価が現れます。

るろけん
剣心のキャスティングは完璧でした。商業的には成功の部類に入ると思いますが、2作め以降のストーリーが原作と違う方向へ行ってしまったため、批判も多い作品です。
テラフォマーズ
ただのコスプレです。バカにしてんのか。と思いました。

ゲームにおいても同じことが言えます。
原作に忠実な絵作りはもちろんのこと、ゲームの雰囲気やデザイン性。ゲームシステムなど、原作の世界をきちんと体感できる作品に仕上がっているか否かで大きく評価が分かれます。
原作ストーリーを使用しているだけでもファンの期待値はグッと上がりますが、オリジナルストーリーでもヒットしている作品は、原作の持つ雰囲気や良さを丁寧に作り込んでいるからです。

ジョジョ
原作再現度もさることながら、ゲームシステムもよくできていました。ゲームでスタンドをどう表現するのか?CAPCOMの出した答えは「スタンドボタン!」さすがです。

イレギュラーケースとして、原作を全く意識させない違ったアプローチで成功させている例も数多くあります。(ゲームではありませんが)
現実世界からあまりにかけ離れた作品の場合は、そのまま作るとかえって安っぽさが出てしまうのかもしれません。
下手に原作に固執しない分、作品としての完成度が高くなる傾向があり、監督の手腕が光ります。

  
洋画作品はあまり原作を意識しないつくりになっているものが多いですが、監督自身の作品に対する捉え方をうまく融合できている気がします。

3真面目にそのまま作りすぎる

堤幸彦監督の「20世紀少年」。ヒット作の部類に入るのでしょうが、評価が別れる微妙な作品です。おそらく監督としても挑戦的な作品だったのかもしれません。
というのもこの作品は原作をそのまますぎるくらいに忠実に再現しています。
原作ファンから忠実に再現できているのが嬉しいという声がある一方で、映画作品として見た場合、現実世界では腑に落ちない不自然な部分が随所に散見できます。

20世紀少年

ゲームの場合は少し状況が違うのでうまくいくパターンの方が多いかもしれませんが、あまり忠実にし過ぎてバランスブレイクを起こすと、純粋なゲーマーからヘイトを受けるので難しいところです。(ファンとしては再現度が高い方が素直に嬉しいですが。)

ASB

見た目やアニメ表現に拘り過ぎてレベルデザインをミスった失敗例。。。アクションゲーム好きな人達からバッシングを受けましたが、ジョジョファンには再現度が非常に高いので好評を博したようです。(1作めの失敗からか2作めでは"対戦アクション"ではなく"スタイリッシュアクション"という不思議なジャンル名が付いてましたね。。。)

成功させるコツ

1原作の良さを生かす

原作再現度の高さが作品の評価を大きく左右しますが、忠実に再現するだけでなく、各々の媒体の持つ特性を上手く利用することも重要です。映像、ゲーム、各々の持つ特性を生かし、その中でいかに原作の”らしさ”を出せるかが、成功の鍵となります。

ゲームの場合、原作にしかないオリジナルな要素をゲームシステムに上手く取り込めれば大成功です。その原作でしか表現できない新しい体験は唯一無二のゲームシステムになります。

ドラゴンボール
飛び道具での戦闘がメインのドラゴンボール。
画面を分割することで、遠く離れた敵との戦闘の臨場感を上手く表現しています。 原作らしさがゲームシステムに良い影響を与えた成功例です。

原作ファンの多くはゲーム内で原作再現をすることに意欲を燃やします。自己満足な面が大きいので、とくに何も起こらなくても達成できたことにユーザー自身が喜びを感じますが、そこにゲーム側で隠し要素などを入れてあげると、ユーザーのウケが格段に良くなります。
ルールに縛られて原作再現すらできないような作り方はやめましょう。

隠しキャラ
特定の条件で出現する隠しキャラ
オラオラ
特定の条件下で発動するオラオラ合戦

2ルールに縛られない

前項でも触れましたが、ゲームの場合はレベルデザインやバランスによってキャラクターのパラに補正がかかってしまい、原作からかけ離れたレベル感になってしまったり、ゲームルールの縛りの中で不自然な属性付けなどがなされてしまい、原作の(特にキャラクターの個性)良さを殺してしまうことが多々あります。
あくまで原作を生かすことを考えて、ゲームのルールに縛られるのではなく、原作のルールに準拠すべきです。

バランスが悪いとゲーマーは騒ぐかもしれませんが、IP作品の場合はプレイヤーの多くは原作ファンです。多少のバランスブレイクならファンはネタとして許容してくれます。
ただ、やみくもにレベルデザインを壊していいとは言いません。やはり作品としてのクオリティを担保する意味でも、原作の良さをきちんと考えたレベルデザインをするのがプロの仕事です。

サウスト
ワンピースサウザンドストーム
一番最初のクエストでいきなり三大将の黄猿が出てきます。簡単に倒せるので完全に原作を無視しています。他のキャラのパワーバランスもメチャクチャです。。。

3ちょっとした遊び心

ファンは原作再現に熱くなると前項で触れましたが、コレは所謂"やり込み要素"です。
プレイヤー自身が能動的に、自己満足で遊んでくれるので、ゲーム側で何か用意しなくてもいいものですが、それを見越して隠し要素としてなにかのアクションを仕込んでおくのは有効です。
すでに完成した世界観がある場合、そういった隠し要素ややり込み要素などの”ネタ”を仕込むのは案外容易に行えるので、ちょっとした遊びごころを加えて、ゲーム内の随所に散りばめておくと、「開発者解ってるなぁー」と喜んでもらえることでしょう。

ジョジョSS

4一般ウケを狙わない ファンに向けて作る

これはIPに関わらず、SG開発全般に当てはまることでもありますが、現場の開発者達はとにかく大衆ウケするもの(スタンダード)を作ろうとします。
人にはそれぞれ個性があり、感じ方や捉え方も千差万別です。スタンダードなものは確かに存在しますが、それも一朝一夕で確立したものではありません。長い時間をかけて多くの人の中に浸透していったものが一般的な価値になるのです。
そういった遠回りなプロセスを経ずにいきなりスタンダードを作ろうとするのは無謀です。不可能です。

さて、話をIPに戻しましょう。
IP作品には原作のファンが一定数付いてきます。(一定数というのは原作以外を認めないアンチが必ず存在します)そういう意味ではノンIP作品よりもユーザーの確保は容易いと言えるでしょう。
しかし、多くの開発者が"一般ウケ"を狙いにいくあまり、本来獲得できるはずの原作ファンを取り逃がしている現実があります。
原作ファンが喜びそうなことを一切せず、当たり障りのない表現に落ち着いてしまった結果、どこかで見たことがある側替えアプリ(もはやそのIPでなくてもいいもの)が出来上がります。

狙い撃ち
IPはターゲットが定めやすい

原作ファンは、原作を知らない/興味のないユーザーよりも課金の割合が高く、継続して遊んでくれる固定ユーザーになってくれる可能性があります。
ファンへのウケがよければそこから評判が広まり、自然とDAUも売上げも上がっていくはずなのに、失敗プロジェクトはファンよりも興味のないユーザーをターゲットにしてしまうため結果が出せないわけです。
そもそも原作に興味のない人がやるわけがないし、ファンにも刺さらないものがどうして非ファンに刺さると言えるのか、私には全く理解できません。

ヒットは意図的に作れる

ヒット作を出すには一定に条件があり、その条件を満たしていなければ、意図的にヒットを出すのは不可能です。

  • 開発元や開発者(チーム)の知名度.....Nintendoだから面白そう。スピルバーグ監督作なら間違いない。
  • プロモーション力.....広告の力は偉大です。実写映画化や◯◯ドラ◯◯ストがいい例です。
  • 過去の実績.....前作面白かったから続編にも期待。

これらの条件が揃っていないのに、イキナリ大ヒットを狙いにいく開発者が多く、結果的に誰にも刺さらない退屈なアプリが出来上がってしまうわけです。
無名でもヒットする作品はたくさんありますが、そういった作品の共通点はじわじわと業績を伸ばしていくことです。前評判もプロモーションも何もない作品が突然ヒットすることはまずありません。だからこそ良いものを作らなければいけないのです。

君の名は

IPを扱うクリエイターは原作に敬意を払うべき

公式とは言え原作者本人がチェックしていることは稀です。版元のOKがでれば何をしてもいいというものではないと思います
作品は作り手が人生をかけて制作した貴重な知的財産です。権利の有無にかかわらず、他者の作ったものを扱う際は敬意を持って接するべきです。
残念ながらIPのコンテンツ制作に関わってきた人達の中で、真摯に作品と向き合う姿勢を持った人はいませんでした。結局、利権が絡むと偉大な作品もお金儲けの道具としてしか見られないということなのでしょう。悲しいことです。。。

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ソーシャルゲームが市民権を得るようになり、家庭用のコンソールゲームを凌ぐほどの急成長を遂げてきましたが、実際はゲームと呼ぶにはまだまだ未熟なコンテンツが横行しているのが日本のSGサービスです。
ブラウザゲーム時代のUX設計や課金スキームから脱却できず、海外メーカーが打ち出すエンターテインメント性の高い作品に一歩引けを取っているのが現実です。

1SGはギャンブル

ブラウザゲームの登場とともに確立した新しい金儲けの仕組み”ガチャ課金スキーム”
国内のSGメーカーの多くがこのガチャスキームを採用し、国産ゲームのほぼ全てに組み込まれていると言っても過言ではないでしょう。
よくできたビジネスモデルなんですが、実はこれがSGをゲームで無くす根本原因を作っています。

ガチャスキームがゲームを崩壊させる

ガチャはただの運試しでしかありません。
ガチャをひいて強いアイテムが出るか否かでゲーム攻略の有利不利が決まってしまいます。
コンソールゲームのルールでは、ゲームの進行に応じてキャラもユーザーも少しずつ成長していくものですが、ガチャはこのルールを崩壊させます。
おみくじ

ユーザーの熟達度合いやテクニックとは関係なく、ガチャの結果で全てが決まってしまうのでUXの作り方として、ゲームというよりギャンブルの思考に非常に近いのです。


アプリ開発に移行してからは、よりゲームらしいものが作れるようになり、アクション性の高いものも実現できるようになりました。
そのためパラだけの勝負で十分だったブラウザのカードゲームとは違い、ユーザーのテクニックなどが介入できるゲームシステムだと、パラ推しのガチャスキームがゲームの楽しさという部分で足を引っ張ります。

これは余談ですが、同僚のエンジニアさんがこんなことを言っていました。
『我々が作っているのは集金システムだ』と。
まさにその通りです。ユーザーから効率よくお金を回収するシステム。それこそ日本のソーシャルゲームです。

2操作性の格差

そもそも、スマートフォンはゲームを遊ぶための端末ではありません。どちらかといえばブラウジングに特化した機械です。
スマートフォンの性能が上がり、コンソールにも匹敵する表現が可能にはなりましたが、操作そのもはマウスのカーソルがタッチパネルに変わっただけで、まだまだweb向きのデバイスと言えると思います。そのためウェブで培ったUX設計と画面設計の知識がどうしても必要になってきます。

ものづくり

ゲームクリエイターはよりゲームらしいものを作りたがりますが、コンソールのように複雑な操作ができるコントローラがあるわけでもなく、スペックもリッチなゲームをやるにはまだまだ足りません。
SGにはSGなりの遊び方の提供を考察し続けていく必要があるでしょう。

3不自然なUX

ガチャスキームがゲームらしさを阻害する根本原因を作っているわけですが、それというのもガチャはブラウザゲームに特化した仕組みのためだからだとも言えます。
ブラウザに比べてより柔軟な表現が可能なアプリでは、アプリにフォーカスしたUX作りが必要になってくるのですが、ブラウザ時代の成功体験から脱却できずに同じ作り方を続けているアプリが非常に多いです。

ゲームサイクルが作れていない

ブラウザ時代の遊びの提供方法として、期間限定のクエストやイベントなどはよく目にしましたが、アプリはブラウザのように簡単に追加/削除が行えないため、予め機能を作っておく必要があり、限定的なはずが定常になってしまうというジレンマに陥っています。
イベントは毎週/毎月のように行われるのでその都度ルールやUIを変更する必要に迫られ、どんどんゲームが壊れていきます。
サービスとして非常に不安定です。

ゲームサイクル

やってくれたらいいな、とかやりたい人がやればいい はサイクルではなくただの運用計画でしかありません。そういった機能は単純作業になってしまう場合が多く、使う人しか使わないので、最終的に無駄機能として負の遺産が残る危険性を孕んでいます。
ゲームサイクルとはユーザーがそれをしなければ先に進めない状況が連続し、なおかつ元いた場所に戻ってこれる状況を作り出すことです。

良いもの作ろうぜ!だけでもなんとかなると思うの

我々が作っているのはアプリであり、ゲームとは異質な物であると自分は認識しています。
アプリにはアプリ特有の遊び方や手軽さなどいいところもたくさんあるので、 ゲームクリエイターとしてのプライドが邪魔をして、今後広がるかもしれない新しい可能性までも 見失ってしまっていては、良いモノづくりは出来ないのではないでしょうか。

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不思議とこの仕事を始めてからというもの、嬉しい(?)ことに新規タイトルの開発に携わることが多く、
幾つかの大型タイトルのリリースも見届けてきました。

しかし、新規開発に慣れているメンバーが不足していることもあり、無駄な作業の繰り返しや開発の遅延が頻発することは日常茶飯事です。

そこで今回は、プロジェクトを効率よく、かつ安全に運営していくための原則をご紹介します。

1何を作るか決める

なにを当たり前なことをいっているんだ? と思われるかもしれませんが、 実はこれが出来ていないプロジェクトは非常に多いです。 何を作りたいのかが企画の段階で曖昧なために、開発を進めると次々と問題が発覚して、 開発が頓挫したり、遅延したりするのです。

作りたいものは何ですか?

例えば、家を建てようと思ったときに『どんな家にしようか』 というのは誰でも考えることだと思います。 伝統的な日本家屋や西洋の古城のようなレンガ造りなど、 特にこだわりたいひとは、どんな家にしたいかの 具体的なイメージまで思い描くことでしょう。

モノづくりの現場において この”最終的な完成系のイメージ”というのはとても重要で、 ゴールが見えているかいないかで プロジェクトの成功が大きく左右されます。

設計図イメージ

まずはゴールを決めよう!

まだ1項目目なのにもうゴール?と思われるかもしれませんが、実はこれが一番重要なんです。

ゴールの見えないマラソンなんて走りたくない!

目的地を決めずに船出すれば遭難します。設計図がなければ家は建ちません。ゴールが見えず、いつまで走り続ければいいのかわからない状態で全力疾走なんてしていたら、すぐにスタミナが切れて倒れてしまいます。
最終的に出来上がる完成予想図を明確にしておくことで、全員が目指すべき目標を見失わずにすむので、プロジェクトはスムーズに進みます。
到達目標を決めるだけで開発メンバーは不安を抱かなくなり、モチベーションの維持にも繋がるのです。
開発が長引きそうならチェックポイントを設けましょう。「つぎはここまで!」という中間ゴールが見えているだけで心理的なストレスは軽減されます。

無限マラソン

いきなり作り始めないで、まずはゴールを決めましょう。

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2コンセプトを決める

どんなゲームを作るか? が決まれば、自然とゲームシステムや世界観などが見えてきます。
剣と魔法のRPGやSFシューティングなど、より具体性を持ったイメージを作ることは、
プロジェクトを効率よく進めるためのガイドラインになります。
開発中に迷ったり、立ち止まることがあっても、
予め定めたルールに則って軌道修正すればゴールには必ず辿り着けるのです。

コンセプト

コンセプトはすべての原点

→ゲームの世界観やキャラクターデザインなど、グラフィック(見た目)の指針になる

ファンタジー作品ひとつとっても ダークなものやコミカルな冒険譚など、テーマによって世界観やデザインは大きく変わります。
コンセプトでテーマを定義することでデザインやストーリーが作りやすくなります。

戦士

→ゲームシステムやレベルデザインなど仕様全般を決定する際の指針になる

コンセプトに沿って作られたゲームシステムは、一貫したUXをユーザーに提供し、ゲーム全体の構造をイメージしやすくしてくれます。
不自然な機能の付加などが起こりにくくなります。


→ターゲットユーザーやシナリオを想定したゲームデザインの指針になる

誰に向けて作るサービスなのか? はコンセプトが明確に定義できるものなので、
ユーザーシナリオやイベントを作る上で分かりやすい基準となります。

ターゲット

→エンジニアリングにおける機構や構造化の意思決定に大きく関わる

どんな機能がゲームに必要で、どんな構造をしていれば、ゲーム進行上最適なのか? がコンセプトにより定義されるので、
必要な用件を満たせるデータ構造やプログラムの機構を考えるうえでの判断材料になる。


→開発中の疑問や想定外の問題に対処できる明確なルールになる

目指すべきゴールと従うべきレールがしっかり見えていれば、迷っても混乱することはなくなります。

やばい・・・

コンセプトとはゴールを見失わないためのレールです。一度決めたコンセプトは絶対に変えてはいけません!

アクションゲームを作っていたはずが、気づくとパズルゲームになっていた・・・なんてこともよくあります。。。
当初の設計プランが崩れるのも当然ですよね。作り直しです。そうならないようにコンセプトの掘り下げはしっかりと行っておきましょう。

standbyme

コンセプトが不十分で無理やり推し進めるとどうなるか?

  • コンセプトが曖昧なので 開発メンバーは何を作ればいいのか 解らなくなって、いずれプロジェクトが暗礁に乗り上げる。

  • 何をするゲームなのか解らないものが出来上がり、普通に面白くない。

  • 作って、壊してをひたすら繰り返すので、 永久に作り続ける負のスパイラルに陥る。開発期間が無尽蔵に伸びていく。

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