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長い時間とお金と人員を割いて開発したタイトルを満を持してリリース!
・・・したものの全く跳ねないという目も当てられない事態に直面することはよくある話。
売り上げ改善のためにDAUやRRを伸ばす努力をするものの悉く不発で売上げも上がらずサービス終了に・・・。そんなプロジェクトをこれまでたくさん見てきました。

DAUこそ正義

どんなサービスでも共通して言えることですが、ユーザー数と売り上げは比例するので、ユーザー数の少ないサービスでは売上げを維持するのが難しい状況に陥ります。そのため運営サイドとしては手っ取り早く利益を確保するために、一部のヘビーユーザーと呼ばれる高課金者に頼るようになり、どんどん個人の負担を強いるスキームにシフトしていってしまう傾向があります。
こうなるとお金をかけないと遊べないゲームになり、ついていけないユーザーは離脱していき、新規ユーザーの獲得も難しくなっていきます。DAUを上げて(裾野を広げて)個人の負担を軽減しなければ、そのままサービスはしりすぼみに衰退していきます。

ただ、問題なのはこの事態を開発者自身(運用責任者)が理解していないという事実。
UXデザイナーからの視点として、なぜそのゲームが売れないのか?DAU/RRが上がらないのか?何が問題なのかをまとめてみました。

1正しいサイクルに誘導できていない

チュートリが終わったらご自由にどうぞ という丸投げなパターン。ユーザーを正しいゲームサイクルに導く上で一番やってはいけない失敗例です。(すごく多いですが)
そもそも初めてゲームを遊ぶ人間にとってはいきなりご自由に。と言われても何していいかわかりませんよね。
チュートリ終了後の離脱率が高い要因の一つがコレ。


丸投げパターンが通用するのはSGを長い間プレイしてきた経験のあるユーザだけで、全くの初心者を完全に度外視しているので、せっかく遊びに来てくれたプレヤーをみすみす取り逃がしているわけです。さらにゲームごとにプレイ感やルールが少しづつ違うので、慣れている人でも初めは解らないもの。結局きちんとした説明のないままチュートリが終わってしまうので、迷子になったユーザーは離脱します。

海外旅行

解決策

コンソールゲームではみんなやっていることですが、ユーザーが正しいサイクルに乗るまでは、運用側できちんと誘導してコントロールしてあげることが大事です。
ある程度ストーリーが進むまではできることが限られていて、良きタイミングで機能を解放する方法。
SGなのであまりリッチなことはできないというジレンマはありますが、やらずにユーザーを失うよりはマシです。

ゼルダ  ゼルダ
ゼルダシリーズのチュートリアルは毎回ストーリーに絡めて丁寧に作り込まれている。

逆にあえて何もしないという方法もありますが、この場合はゲーム事態の構造が単純な場合に限ります。具体的にいうとファミコンのゲームみたいなもの。何もしないと敵が襲ってくる。前にしか進めない。みたいな状況だとユーザーは特に説明しなくても勝手に進んでくれます。

マリオ
ただまぁ、こういったゲームは今の時代、なかなか作るのは難しいでしょうね。
手がかり
J・J・ギブソン『人は手がかりを探す』 知覚可能なアフォーダンス
ユーザーは何も説明がないと自ら進んで情報を拾いに行きます。
多くのゲームで情報過多なのはすべてを説明しようとするからです。ユーザーを信じましょう。

2ゲームへの没入感が希薄

パズドラ、モンストの成功を例に挙げて、敢えて何も説明しない。特別なストーリーを用意しない。そういったゲームを作ろうとする開発者がよくいます。しかしそれはパズドラ、モンストだから通用するのであって、複雑怪奇な仕様と世界観を持つゲームでは通用しません。ただし、パズドラ、モンストもよくできているとはとても言えません。

ストーリーの使い方が下手

シナリオは物語の中にユーザーを引き込むための大切な要素です。ストーリーを上手く使うことで、ユーザーが没頭してくれるUXを作り出すことができ、ゲームを進める動機を与えてくれる重要な役目を担っています。
ゲームの目的が曖昧だと、ユーザーは何のために進めているのか解らず、ただひたすら同じサイクルを繰り返すだけの作業に飽きてしまいます。ストーリーはゲームを進める動機をハッキリさせてくれるので、継続性を維持できる有効な手段だと言えます。

メガテン
"女神転生4 FINAL"
ゲーム序盤で主人公が死亡するシーン。ダグザ(悪魔)と契約すれば命を助けてやるという重要なシーン。ユーザーを物語の世界に引き込み、先のストーリーを進めたいと思わせてくれます。

カードゲームの目的は”相手に勝つ”とハッキリしていました。ゴールが無く、そのためストーリーも必要ないと思われていましたが、新規性や独自性のために世界観を追求し始めるとどうしてもストーリーが必要になります。その矛盾に多くの開発者は気づいていないようです。

マジック ザ ギャザリング
http://magic.wizards.com/ja
相手に勝つことが目的であり、カードを集めなければ戦えない。あとはユーザー自身が能動的にゲームを成長させてくれるのでストーリー等が必要ない。

パズドラ、モンストはレアケースです。
スマホの操作xパズルの親和性の高さから、ゲームに興味の無いユーザーを取り込めたのが大きいです。パズルゲームそのものが目的化しているので、ゲームを進めることを目的としていなくても遊び続けられます。また、この二つはプロモーションの上手さが最大の勝因です。モチーフ自体のとっつきやすさと、イメージ通りの単純なプレイ感が上手くマッチした成功例だといえます。(パズルは世界中誰でも知っているモチーフですからね。)
CMを見て面白そうと始めてみたものの、何だコレ? なパターンは結局続きません。

収集が目的でないゲームの場合は”ゲームを進める=ストーリーを進める”と言っていいと思います。
しかし、多くのサービスがゲームを進めることを目的とした設計にしておきながら『うちのゲームもストーリーなんか無くていい!』という不自然な構造になっているため、プレイが継続しないのです。

3やることが多すぎる

ユーザーを飽きさせないため、長く続けてもらうために色々な施策を盛り込むのはよくあることですが、ゲームサイクルに直接関わる機能を盛り込んでしまうと、特に新規ユーザーにとっては初見でやることが多くて面倒くさそう とか 複雑そう という印象の方が先に立ってしまい、ユーザー獲得を妨げる原因になってしまします。
また、すでに遊んでいるプレイヤーにとっても単純に作業が増えるので、面倒さを感じさせてしまいます。ゲームサイクルに直接影響するような機能追加はやめておきましょう。

機能が多い
人間は複雑なものには嫌悪すら感じる

ゲームサイクルに直接関係しないやり込み要素などは、やりたい人がやるものでしかないので面倒を感じる人はやりませんがゲームサイクルに関わる機能だと作業感が増してしまうので途端に面倒を感じます。

わらしべ

後から新しいものを追加していくと初期設計が壊れてしまうので、すべての機能を初めから入れておくのは当たり前のことです。
SG育ちの開発者達は後から追加すればいいという考え方が身に染み付いてしまっているので考えを改めましょう。

4スコープを間違っている

誰でも遊べるカジュアルゲームを目標に開発が始まったはずなのに、いつの間にか月10万課金しているヘビーユーザーのためのガチゲームになってしまっていることはよくある現象。しかし、なぜそんなことが起こるのか?それはスコープ(ペルソナ)を間違っているから。


DAU/RRが伸び悩んでくるとその原因は何なのか考察が始まります。大抵の場合『コンテンツを遊びつくしてしまいやることがないから』『頑張ってもドヤ出来る場所がないから』という理屈が聞こえてきますが、その前提がすでに間違っています。

そこまでやりこんでくれている人達はもうすでにヘビーユーザーです。継続してもらう工夫は確かに必要ですが、そもそも枯渇してしまうような作り方がイケない。何もしないでも熱中して継続してくれるものでなければゲームとは言えません。

スコープ

問題なのは新規ユーザーの獲得と辞めてしまった人達の復帰。
現在のプレイヤーに対する優遇措置をとっても、DAUの維持はできますが決して上がることはありません。新規プレイヤーに向けてコンテンツ量を増やしたり、ドヤできる場所を与えても意味がない上に、ゲーム難度が高くなって入りづらくなってしまうので逆効果です。

IP(版権)ゲームの失敗パターン

最近はどれも似通った内容のゲームが増え、差別化が計れない中でなんとか売上げを維持するために”版権もの”をゲーム化する流れが出来ています。ただ、ゲームのルールを重視するあまり原作らしさを殺してしまっているゲームが非常に多く、IPを利用した側替えゲームばかりが目立ちます。原作ファンさえ取り込めればIPゲーは成功ですが、ファンを敵に回しかねない酷い内容のゲームを作ってしまうのは、開発者自身が原作に対するリスペクトを欠いているからに他なりません。
IP作品の作り方については他の記事で詳しく言及しています。IP(版権)作品を成功させる方法


<成功例>
ジョジョ   ドラゴンボール
どちらの作品もゲーム化ならでわの独自のバトルシステムと原作に準拠したシナリオや隠しコマンドで高い評価を得た。

5そもそもの初期設計で失敗している

DAU維持のためにプレイ中のユーザーを継続させるための施策を打てば、少しずつレベルデザインがヘビーになっていってしまい、かえって新規ユーザーの獲得が困難になっていきます。さらにヘビー層の中で上位争いが始まると、ついていけないユーザーはどんどん離れていきます。
DAUが維持できない。上がらないのはそもそものゲーム設計がイケてないからです。


更新/イベントありきの作りになっているので、いろいろな事情から中途半端な状態でリリースしてしまうのを許容するきらいがあり、運用しながら修正していけばいいというSG特有の"甘えた体質"があります。
どんな施策を打つのかくらい初期の設計段階でしっかり考慮しておくのが当たり前です。イベントを打たないとコンテンツが枯渇してしまうような設計をしている時点でサービスとして未熟です。

謝罪会見
不良品と解ってて売りつけるなんて詐欺ですよ。サービスである以上、完璧なものをお客様に提供しなければ失礼です。

プレイサイクルをきちんと考えて、無駄な施策を打たなくてもDAUを維持していける構造にしましょう。
海外
海外の優良アプリは大抵リリース時のまま数年継続できます。イベントなどもほとんどありません。そもそも更新で何かやるという考え方が無いのでしょう。だってゲームですからね。リリースしたらそれが完成品です。

コレをやろう!と言い出したら危険サイン!

長く開発や運用に携わっていると、プランナーさん達が何を考えているのが大体わかってきます。そしてまるで判で押したようにどこのタイトルでも全く同じ施策をやろうと言い出すのです。。。

  • ●ランキング

    ヘビーユーザー達に成果発揮の場を。という目的で導入されるランキング。こういった施策をいれると、どうしても上位層の小競り合いが始まり、とにかく重課金者しか楽しめない構造にシフトしていってしまうので、新規ユーザーの獲得が難しくなり、戦いに敗れた人達もどんどん離脱していくので、結果DAUの減少を招きます。そもそも成果発揮って必要なのか?

  • ●称号/トロフィー

    頑張ったユーザーが自慢(ドヤ)できるようにすることで、それを見た他のユーザーも頑張る気にさせるもの。。。ですが、他人と競いあうようなゲームシステムならまだしも、一人用がメインだとほぼ無意味です。フレンドの使っているレアカードを見て自分も欲しいな くらいはありますが、その称号欲しい!とはならないし、どうだ凄いだろ ともならないでしょうに。。。こちらもヘビー向けの施策なので新規ユーザーを敬遠させる一因となりえます。

  • ●ミッション

    チュートリ後離脱改善のために、何をしたらいいか学んでもらおうという目的で導入することが多いミッション。
    しかし、ゲームの内容も理解していないのにやること増やしても路頭に迷うだけです。
    ユーザーにとってはただ『やること多くてウザい』としか思われません。

ユーザー同士を競わせたり、射幸心を煽ることで売り上げ改善を図る方法は短期的には効果がありますが、長期的に見ると負の遺産になってしまうケースが殆どです。
一度入れてしまうと開発者側の都合で削除や変更ができないので、新たな施策の導入には慎重さが大事なのですが、そういった問題点を運用のプロである筈のプランナーやアナリスト達がどうやら理解していないという事実。
他のプロジェクトでも失敗しているような施策を完コピして焼き直すだけで、なぜ上手くいかないのかと頭を抱えているのを見ると、この子達はアホなのか?と不憫に思えてなりません。
ユーザーがどう感じるか。ということを考ることこそUX作りの大切な部分であり、面白いところです。

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[不定期連載] 不憫なSGデザイナー開発記 コメント(0)
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