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IP関連のゲーム制作に携わる機会が多かったので、成功するパターンと失敗するパターン両方を見てきました。その中でコレをやると失敗する共通点が見えてきました。IP作品制作で絶対にやってはいけないこと成功させる秘訣をご紹介します。

自分がやるのはいいけど、他人がやるのは嫌

とあるIPゲームの制作に参加した際、原作のファンに聞き込み調査を行ったことがありました。
その作品は世界的にも人気、知名度共に高い作品だったので、作り手としてもかなり気を遣い、開発を始める前に”何をされると嫌か?”を調査しました。
原作を純粋に愛する人たちにとって許せないと感じるのは『二次創作感(素人っぽさ)を感じてしまう行為』だそうで、具体的に言うと”コスプレ”や"アンソロジーコミック"がNGというものでした。
コス、同人誌の何が悪い!?とお怒りになる方もいらっしゃると思うので詳しく解説します↓

聞き取りを行った方の中にはコスプレイヤーさんもいらっしゃいました。ただ、その人達に言わせると「内輪でやってる分には楽しい」が、「他人がやってるのを見せられるのは嫌」だということでした。。。
また、著作権利者本人が認めているかも重要で、ファンが勝手にやっていることは認めたくないようです。
つまり 非公式で勝手にやっていることは仲間内だけで盛り上がるのはいいが、見せられる方はたまったもんじゃない ということです。

二次創作

では、この前提を元にIPものを作品化する際に気をつけなければいけないことを具体的に見ていきましょう。

失敗するパターン

1原作にないことや独自のルールを作ってしまう

原作のストーリーに無いコンテンツオリジナルのストーリーはよくありますが、出来の悪いコンテンツの場合、原作の良さや雰囲気、キャラクター性などを無視した杜撰なシナリオを導入しているものが散見されます。

ゲームもそうですが最たる例はテレビアニメのオリジナルストーリーですね。キャラの話し方や行動に違和感を感じたり、話の展開が安直だったり妙に理屈っぽくなったり、別人がシナリオを書くと同じモチーフでも驚くほどつまらなくなってしまうんですから、原作者の偉大さを痛感しますね。

ハガレン
1期と2期で大きく評価の分かれるハガレンのアニメ
個人的には2期派で、1期後半の展開が中二過ぎて普通につまらなかった印象しかありません。エドの性格も変わっちゃってたし。。。

ゲームの場合、バランスやレベルデザインを意識するあまり原作らしさを殺してしまっている作品も多くあります。
原作中で最強ボスレベルだった相手にあっさり勝ててしまうとか、ゲームのルールに則るとどうしても変な属性がついてしまうとか。
仕方ないと言えばそれまでですが、そういった原作らしくない行いをするかしないかでファンの反応も大きく変わります。

2原作再現度が低い

「外国人のコスはいいけど日本人はダメ。」調査中にそんな声も聞きました。
作中のキャラだけでなく世界観や雰囲気(デザイン)をいかに再現できているかは、ファンにとって一番気になる部分のようです。
再現度が低い作品はそれだけで二次創作感(素人っぽさ)が滲み出てしまうので、最も気を遣いたい部分です。

私は三池崇史が嫌いです。

昨今、漫画などの実写映画化が流行っていますが、ヒットする作品と炎上してしまう作品とでハッキリ分かれるのも、原作再現度によるところが非常に大きいです。
よくできた作品はキャスティングとストーリー、両方が程よく原作を再現しています。
特にキャスティングは目に見えて比較できるので、わかりやすく評価が現れます。

るろけん
剣心のキャスティングは完璧でした。商業的には成功の部類に入ると思いますが、2作め以降のストーリーが原作と違う方向へ行ってしまったため、批判も多い作品です。
テラフォマーズ
ただのコスプレです。バカにしてんのか。と思いました。

ゲームにおいても同じことが言えます。
原作に忠実な絵作りはもちろんのこと、ゲームの雰囲気やデザイン性。ゲームシステムなど、原作の世界をきちんと体感できる作品に仕上がっているか否かで大きく評価が分かれます。
原作ストーリーを使用しているだけでもファンの期待値はグッと上がりますが、オリジナルストーリーでもヒットしている作品は、原作の持つ雰囲気や良さを丁寧に作り込んでいるからです。

ジョジョ
原作再現度もさることながら、ゲームシステムもよくできていました。ゲームでスタンドをどう表現するのか?CAPCOMの出した答えは「スタンドボタン!」さすがです。

イレギュラーケースとして、原作を全く意識させない違ったアプローチで成功させている例も数多くあります。(ゲームではありませんが)
現実世界からあまりにかけ離れた作品の場合は、そのまま作るとかえって安っぽさが出てしまうのかもしれません。
下手に原作に固執しない分、作品としての完成度が高くなる傾向があり、監督の手腕が光ります。

  
洋画作品はあまり原作を意識しないつくりになっているものが多いですが、監督自身の作品に対する捉え方をうまく融合できている気がします。

3真面目にそのまま作りすぎる

堤幸彦監督の「20世紀少年」。ヒット作の部類に入るのでしょうが、評価が別れる微妙な作品です。おそらく監督としても挑戦的な作品だったのかもしれません。
というのもこの作品は原作をそのまますぎるくらいに忠実に再現しています。
原作ファンから忠実に再現できているのが嬉しいという声がある一方で、映画作品として見た場合、現実世界では腑に落ちない不自然な部分が随所に散見できます。

20世紀少年

ゲームの場合は少し状況が違うのでうまくいくパターンの方が多いかもしれませんが、あまり忠実にし過ぎてバランスブレイクを起こすと、純粋なゲーマーからヘイトを受けるので難しいところです。(ファンとしては再現度が高い方が素直に嬉しいですが。)

ASB

見た目やアニメ表現に拘り過ぎてレベルデザインをミスった失敗例。。。アクションゲーム好きな人達からバッシングを受けましたが、ジョジョファンには再現度が非常に高いので好評を博したようです。(1作めの失敗からか2作めでは"対戦アクション"ではなく"スタイリッシュアクション"という不思議なジャンル名が付いてましたね。。。)

成功させるコツ

1原作の良さを生かす

原作再現度の高さが作品の評価を大きく左右しますが、忠実に再現するだけでなく、各々の媒体の持つ特性を上手く利用することも重要です。映像、ゲーム、各々の持つ特性を生かし、その中でいかに原作の”らしさ”を出せるかが、成功の鍵となります。

ゲームの場合、原作にしかないオリジナルな要素をゲームシステムに上手く取り込めれば大成功です。その原作でしか表現できない新しい体験は唯一無二のゲームシステムになります。

ドラゴンボール
飛び道具での戦闘がメインのドラゴンボール。
画面を分割することで、遠く離れた敵との戦闘の臨場感を上手く表現しています。 原作らしさがゲームシステムに良い影響を与えた成功例です。

原作ファンの多くはゲーム内で原作再現をすることに意欲を燃やします。自己満足な面が大きいので、とくに何も起こらなくても達成できたことにユーザー自身が喜びを感じますが、そこにゲーム側で隠し要素などを入れてあげると、ユーザーのウケが格段に良くなります。
ルールに縛られて原作再現すらできないような作り方はやめましょう。

隠しキャラ
特定の条件で出現する隠しキャラ
オラオラ
特定の条件下で発動するオラオラ合戦

2ルールに縛られない

前項でも触れましたが、ゲームの場合はレベルデザインやバランスによってキャラクターのパラに補正がかかってしまい、原作からかけ離れたレベル感になってしまったり、ゲームルールの縛りの中で不自然な属性付けなどがなされてしまい、原作の(特にキャラクターの個性)良さを殺してしまうことが多々あります。
あくまで原作を生かすことを考えて、ゲームのルールに縛られるのではなく、原作のルールに準拠すべきです。

バランスが悪いとゲーマーは騒ぐかもしれませんが、IP作品の場合はプレイヤーの多くは原作ファンです。多少のバランスブレイクならファンはネタとして許容してくれます。
ただ、やみくもにレベルデザインを壊していいとは言いません。やはり作品としてのクオリティを担保する意味でも、原作の良さをきちんと考えたレベルデザインをするのがプロの仕事です。

サウスト
ワンピースサウザンドストーム
一番最初のクエストでいきなり三大将の黄猿が出てきます。簡単に倒せるので完全に原作を無視しています。他のキャラのパワーバランスもメチャクチャです。。。

3ちょっとした遊び心

ファンは原作再現に熱くなると前項で触れましたが、コレは所謂"やり込み要素"です。
プレイヤー自身が能動的に、自己満足で遊んでくれるので、ゲーム側で何か用意しなくてもいいものですが、それを見越して隠し要素としてなにかのアクションを仕込んでおくのは有効です。
すでに完成した世界観がある場合、そういった隠し要素ややり込み要素などの”ネタ”を仕込むのは案外容易に行えるので、ちょっとした遊びごころを加えて、ゲーム内の随所に散りばめておくと、「開発者解ってるなぁー」と喜んでもらえることでしょう。

ジョジョSS

4一般ウケを狙わない ファンに向けて作る

これはIPに関わらず、SG開発全般に当てはまることでもありますが、現場の開発者達はとにかく大衆ウケするもの(スタンダード)を作ろうとします。
人にはそれぞれ個性があり、感じ方や捉え方も千差万別です。スタンダードなものは確かに存在しますが、それも一朝一夕で確立したものではありません。長い時間をかけて多くの人の中に浸透していったものが一般的な価値になるのです。
そういった遠回りなプロセスを経ずにいきなりスタンダードを作ろうとするのは無謀です。不可能です。

さて、話をIPに戻しましょう。
IP作品には原作のファンが一定数付いてきます。(一定数というのは原作以外を認めないアンチが必ず存在します)そういう意味ではノンIP作品よりもユーザーの確保は容易いと言えるでしょう。
しかし、多くの開発者が"一般ウケ"を狙いにいくあまり、本来獲得できるはずの原作ファンを取り逃がしている現実があります。
原作ファンが喜びそうなことを一切せず、当たり障りのない表現に落ち着いてしまった結果、どこかで見たことがある側替えアプリ(もはやそのIPでなくてもいいもの)が出来上がります。

狙い撃ち
IPはターゲットが定めやすい

原作ファンは、原作を知らない/興味のないユーザーよりも課金の割合が高く、継続して遊んでくれる固定ユーザーになってくれる可能性があります。
ファンへのウケがよければそこから評判が広まり、自然とDAUも売上げも上がっていくはずなのに、失敗プロジェクトはファンよりも興味のないユーザーをターゲットにしてしまうため結果が出せないわけです。
そもそも原作に興味のない人がやるわけがないし、ファンにも刺さらないものがどうして非ファンに刺さると言えるのか、私には全く理解できません。

ヒットは意図的に作れる

ヒット作を出すには一定に条件があり、その条件を満たしていなければ、意図的にヒットを出すのは不可能です。

  • 開発元や開発者(チーム)の知名度.....Nintendoだから面白そう。スピルバーグ監督作なら間違いない。
  • プロモーション力.....広告の力は偉大です。実写映画化や◯◯ドラ◯◯ストがいい例です。
  • 過去の実績.....前作面白かったから続編にも期待。

これらの条件が揃っていないのに、イキナリ大ヒットを狙いにいく開発者が多く、結果的に誰にも刺さらない退屈なアプリが出来上がってしまうわけです。
無名でもヒットする作品はたくさんありますが、そういった作品の共通点はじわじわと業績を伸ばしていくことです。前評判もプロモーションも何もない作品が突然ヒットすることはまずありません。だからこそ良いものを作らなければいけないのです。

君の名は

IPを扱うクリエイターは原作に敬意を払うべき

公式とは言え原作者本人がチェックしていることは稀です。版元のOKがでれば何をしてもいいというものではないと思います
作品は作り手が人生をかけて制作した貴重な知的財産です。権利の有無にかかわらず、他者の作ったものを扱う際は敬意を持って接するべきです。
残念ながらIPのコンテンツ制作に関わってきた人達の中で、真摯に作品と向き合う姿勢を持った人はいませんでした。結局、利権が絡むと偉大な作品もお金儲けの道具としてしか見られないということなのでしょう。悲しいことです。。。

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[不定期連載] 不憫なSGデザイナー開発記 コメント(0)
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