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スマートフォンの普及によりソーシャルゲーム(以下SG)が人々の生活にとって身近なものとなり、SG業界全体がコンソールゲームと肩を並べるくらいの急成長を遂げてきました。SG開発に携わる人材も増え、コンソールからSGへやってくる方も多くいらっしゃいます。
しかし、現在業界で大手と言われる開発会社の多くは、もともとウェブサービスやブラウザゲーム(フィーチャフォン)からスタートした企業が多いため、WEB開発におけるノウハウや制作体制に慣れているメンバーが多く、ジョブチェンジでやってきたクリエイターとの間に軋轢を生じやすい状況が生まれてしまっています。
今回はSG開発現場におけるデザイナーの役割を考えたいと思います。

1デザイナー≠アーティスト

私はもともとWEB出身なので、WEBデザインの手順に則ってプロジェクトを見ることがやはり多いです。ーというのも、前述のようにWEBサービスから始まった会社では、そのままのメンバーや制作体制が引き継がれているので、やり方もそれに倣って進めた方が効率的だと感じるからです。
しかし、これはWEBに慣れた人間の目線なので、他業種から異動してきたクリエイターにとってはやりづらさを感じるのは当然かもしれません。

WEBとゲームでのデザイナーの定義が違う件

コンソール出身のメンバーに話を聞くと、そもそもデザイナーの定義がウェブとゲームでは違うようだと気づきました。

WEBにおけるデザイナーの仕事は大きく分けて4つ。ディレクション/設計/デザイン/実装
個人の能力差や会社の体制もあり多少のバラつきはあると思いますが、基本的にウェブデザイナーは”全部やる”人のことを指します。
方、コンソールにおけるデザイナーとは。世界観等のビジュアル面におけるコンセプト設計とデザイン
といったところです。(個人的な調査によるものです)

デザイナとアーティストの違い

ウェブクリエイターからするとこれは、アーティストやイラストレーターの部類であって、デザイナーとは呼びません。
また、前述のとおりウェブデザイナーは全部やる人なので、業務の中にこのアーティストの分野も含まれています。
ディレクター以上のステータスのクリエイターは出来て当たり前なわけです。
(イラストは別ですがデザイナーの中には得意な方もいます。アートディレクションをしっかりすれば外注できるので、デザイナーが絵を描く必要もありません。)

デザイナvsアーティスト

アーティストとしての経験しかないコンソール出身者では、デザインの知識と経験が無いので、その対応を求められても混乱してしまうのは当然です。また互いの専門領域が一部被っているので衝突も発生します。

デザイナー x アーティスト = 混ぜるな危険

2餅は餅屋

コンソール出身のプランナーさんの中には、企画だけでなく設計やエンジニアリングにも精通している方がたまにいらっしゃいます。そういった方は一人で色々なことに対応できるのですが、悪くするとワンマンになりがちです。特に設計においてはUXを作るという意味でワイヤーまで作られる方も少なくありません。
しかしそこは、本職であるデザイナーに一任した方が、確実で効率も良いです。

デザイナーは見た目のプロであり、情報設計のプロでもある

ただ見た目を作るだけの仕事。と思われがちなSGのデザイナー。(残念ながらこれが現実)
しかしWEB出身のデザイナーはサイトのコンセプト設計から、UXを意識したレイアウトの設計など、お客様と直接打合せしながらデザインを固めていくのが仕事なので、見た目のクオリティはもちろんのことUX設計においてもプロと言えます。

UX設計だけならばデザイナーでなくてもできますが、WEBサービスやアプリ開発になるとUIに落とし込んで考えるというプロセスが必ず発生するので、そこでUI設計/デザインの知識が必要不可欠となってきます。つまりこれはWEBデザイナーだけが実務の中で積み上げてきた独自の技能と言えます。

餅は餅屋

コンソールとアプリの決定的な違い

コンシューマゲームとアプリゲームとの一番の違いは何か?画面サイズ?ハードの性能?
私は操作感だと思っています。
コンシューマゲームのようにコントロールパッドが無いのであまり複雑な操作ができないのがゲームアプリです。それ故に制約も多く、アプリゲームにフォーカスした画面設計やUX設計が必要になってくるのですが、コンソール出身の多くのクリエイターはゲームというくくりで一緒くたに考えてしまっている傾向があることは否めません。

PCサイトやスマホサイトのデザインを数多く経験してきたWEBデザイナーはアプリにフォーカスしたモノづくりにも精通しています。
コントローラなしでも快適なUI設計や企画意図を正しく伝えるためのUX設計などは、経験を積んできたデザイナーの知識が大いに生かされる分野だと思います。

UserExperience

3デザイナーができることとすべきこと

ウェブ出身のデザイナーの職務にはアーティストの分野も含まれます。また、UIを設計する上でお客様の意図(企画の仕様)をきちんと理解していないと、ユーザーに正しいUXを提供できないので、プランナーとしての側面も兼ね備えています
デザインだけ出来ても、そのデザインをどうやってデバイスの画面で再現するのか、技術的な知識が無ければUIデザインはできませんし、そういう意味ではデザイナーもエンジニアリングの知識を蓄えることが必要となってきます。
ウェブデザイナーはこれらを全て一人でやっているので、SGにおけるデザイナーも同等の技術を有しておく必要があると言えるでしょう。

職域図解

SGデザイナーのやるべき仕事

  • 世界観やキャラのコンセプト設計とビジュアル面でのクオリティー担保
  • 最適なUXを提供するための画面設計
  • インタラクションと技術的な構造を考慮した効率のいいUI設計
  • 画面デザインおよび、ゲーム内アセット全般のデザイン制作
  • エンジニアと連携したフロントエンジニアリング開発

こうしてみるとUIUXデザイナーの守備範囲が広すぎるので、ある程度細分化してやらないとパンクしてしまいます。だた、実際は全部やっているのが現実です。

4UIUXデザイナーとは?

『UIUXデザイナー募集』という求人広告をよく目にしますが、そもそもこのUIとUXは全くの別物なので、一緒くたにしてしまうのは少し危険です。(と言いつつ、自分もUIUXという言葉をよく使いますが。。。)
UX(デザイナー)とはユーザー体験の創出と人間工学に基づくプロダクトの設計のこと
UI(デザイナー)とはUX設計に準拠した画面の構築とデザインが主な業務です。
(私がSG開発における経験から考える定義なので、あくまで個人の意見です)
詳しい違いはこちらのサイトで分かりやすく説明されているので、ご覧になられるといいでしょう。『UIUXデザイナーを雇わない方がいい理由』root.inc


UXはプロダクトを成功に導くためにどうするか考える"分析"としての側面があり、心理学や行動学の分野に近いといえます。
デザイナーにその知識を求めるのはハードルが高いと思いますが、
ユーザーにとっての使いやすさを考える"レイアウト設計"の側面も持ち合わせているので、どうしてもUIデザインと完全に切り離すのが難しく、一緒に語られることが多いのがわかります。
とくに画面デザインがユーザー体験に直接結びつく場面が多いSGは、UIデザイナーがやはりUXの知識を蓄えることが、効率よく、確実なUX創出に結びつく近道と言えるのだと思います。
(ただし、そこまでフルスタックの技術力を有するデザイナーは希少な存在です。)

フルスタックデザイナー

逆にUXの専門家を採用したとしても、彼らがデザインの知識を有していなければ、うまく機能しないとも言えるでしょう。

5デザイナーは中間管理職

これまでご説明した通り、SG開発現場においてデザイナーに求められる職務は、他の職域に比べて多岐にわたっています。業務の内容的にプランナーとエンジニアの中間に位置する職域のため、この二職間のパイプ役としての側面も自然と発生してきます。

他の職務内容に知識のあるプランナーやエンジニアだと、各職域のメンバーと直接話せるのですが、そういった人は稀なのでどちらの職域にも多少の知識を有するデザイナーが間に立つことで、プロジェクト運用がスムーズに進みます。
ただ、間に立つというのはお察しのとおり非常にストレスのかかる仕事でもあります。
本来はディレクターや各職域のリーダーが管理すべきことなのですが、開発に携わるデザイナーは多くても5人程度(内UI担当者は1~2人)と少人数のケースが殆どなので、ADが作業を兼務していたり作業者に直接話が来ることも日常茶飯事です。

ハブデザイナー

さいごに

SG開発におけるデザイナーの職務は幅広い対応が必要にも思えますが、WEBに置き換えて考えれば、やって当たり前のことをしているに過ぎません。
ただ、ゲーム開発の場合、プロジェクトに関わる人数が多い割に、デザイナーの人数が少ないので、自身の専門以外の業務に対しても一定の知識と気配りが必要になってきます。
私自身、デザイナーとしての業務よりも、プロジェクトをスムーズに進めるための調整や、エンジニアリングへの対応がメインになってきているので、デザインをきちんとやりたいと考えるクリエイターにとってはストレスの多い環境と言えそうです。

企画内容を把握し、正しいUXへ導くためのUI設計を行い、責任をもってデザインクオリティーを担保する。
エンジニアと連携し、効率的なデータ構造を考え実装する。

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